Komatsu Nine

KOMATSU NINE MEETING

【KOMATSU NINE MEETING】vol.1「小松が好きな“こまつ人”を増やしたい」小林太一(小松市役所)×荒谷雄己(石材荒谷商店)

小松市 観光交流課 担当課長 小林太一さん/石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

小松の人々の交流拠点として生まれたKomatsu九。そこで、小松で活躍中の2人を招待し、小松市について様々なテーマについて語り合ってもらう対談企画「KOMATSU NINE MEETING」。

第一回目となる対談は、小松市観光交流課担当課長の小林太一さんと、石材荒谷商店の代表・荒谷雄己さん。小松歴1年目の公務員と、生まれも育ちも小松の石切職人という、一見“水と油”のお二人ですが、2022年に小林さんが小松市に赴任して以来、小松市の未来について語り合う戦友のような存在。

2024年の北陸新幹線開業を目前に、新たなお店やサービス、商品が次々と生まれつつある小松。様々なテーマでお二人の意見を語って頂きます。

小松市 観光交流課 担当課長 小林太一さん

<小松市観光交流課担当課長/小林 太一さん>山梨県生まれ。大学を卒業後、都市銀行や農業ベンチャー企業に勤務。2022年、小松市が始めて公募した特定任期付き幹部職員に採用され、小松へ。

石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

<石材荒谷商店 5代目/荒谷雄己さん>石川県小松市生まれ。大阪の大学を卒業後、地元の小松市にUターン。家業を継ぐ形で石切職人に。荒谷商店は、日本遺産にも登録されている“小松の石文化”を代表する「滝ヶ原石」の唯一残る石切り場。

「小松には、日本人が求める“真の日本”がある」。縁もゆかりもない、小松市に魅せられた理由とは?

小松市 観光交流課 担当課長 小林太一さん

‐(進行:広報担当K)今回の対談では、小松市滝ヶ原町「石材荒谷商店」さんの石切り場にお邪魔しています。まさに洞窟で、なんだか映画の世界に来たかのような気分になりますね。荒谷さんが採掘・加工している小松市の銘石「滝ヶ原石」はどんな石なのでしょうか?

荒谷さん「簡単に言えば滝ヶ原町の山で取れる凝灰岩です。耐久性が高いので、主に建物や家の基礎に使われていました。施設やお店の内装、装飾にも使っていて、最近では小松駅の新幹線駅舎や施設サイン、石川県立図書館の屋外広場、品川のブルーボトルコーヒーの内装にも使われています」

‐小松では、弥生時代から2300年以上続く石文化。小松を代表する産業を、継ぐことを決意したのは?

荒谷さん「小松の石産業は後継者不足が現実で、昨年閉めてしまった石切り場もあって。跡継ぎがいないというのは、長い歴史を終わらせてしまうこと。親が繋いできたものを残したいし、それは自分(子)にしかできないと思ったから、8割は親孝行の気持ちで継ぎました」

‐小林さんが小松市観光交流課の仕事に取り組むことを決意したのも、こういった日本の伝統文化が残っているからなのだとか?

小林さん「まさにそうですね。日本は身近にある限られた資源を、工夫して豊かに暮らしていくことが上手な国だと考えていて、それが小松には豊富で魅力的だと思ったんです。山から石を切り出して使ったり、お皿に絵を描いて彩る九谷焼だったり。

そういった意味では、小松からは“真の日本”が発信できると思っています。日本人が求める日本がある。それをお手伝いしていきたいと思って小松に来ました」

石材荒谷商店

洞窟の中で音楽フェス(滝ケ原フェスティバル)やライトアップイベントを開催したことも

石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

最近ではコースターやアロマストーンなど、小物系の制作も積極的なのだそう

‐小林さんは、実際に小松に来てみて、どんな町だと思いましたか?

小林さん「衣食住が、地元のものだけで完結する町。他の県の物がなくても暮らすことができるんです。言い換えれば、どんなジャンルの人にも『こんなものがあるんだよ』と、紹介できる町ですかね。建築家には石を、シェフには野菜を、ファッションデザイナーには織物を、といったような」

荒谷さん「そうなんだよね。里山里海もあって食材も豊富だし、職人の町だから物も作れるし。商店街ひとつで1日の買い物が終わるんだよね」

小林さん「他の都市だと、どこに行っても似通った生活になってしまう。この暮らしができる地域は豊かだなと思いますね」

「小松が好きな“こまつ人”を増やしたい」地元愛の輪を広げたい

石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

‐これまで小松の魅力についてお聞きしましたが、逆に小松に足りない、こうなってほしいと思うところは?

荒谷さん「職人気質で変化を受け入れにくいのが課題だと思うのと、小松のことが好きな小松市民がもっと増えてほしい。もともと住んでいる人も、移住してきた人も。“住みやすい”という理由で住んでくれるのもいいけれど、“小松が好き”というポジティブな気持ちで住んでくれている人を増やしたい。

というのも、これから、たくさんの県外や海外の人が来てくれるチャンスがある中で、小松側の人たちがもっと小松を好きにならないとその魅力を発信できない、“小松に行こう”って言ってもらえないんじゃないかと思っているんです」

小松市 観光交流課 担当課長 小林太一さん

‐どうしたら小松の人たちが小松を好きになれるんでしょうか?

小林さん「地元の名産品や小松にしかない(個人などの)お店やイベントを日常に取り入れてくれるようになったらいいのかなと。簡単な範囲なら、地元食材で料理してみたり、お旅祭りに参加してみたり。そういった市民プロジェクトにも取り組んでみたいですね」

荒谷さん「でも、今後の小松市(行政)には今まで以上に期待が膨らんでいるし、同じように感じている人もいるんじゃないかな。太一(小林さん)は民間企業出身だし、赴任する前から小松について熱心に勉強してくれていて、今まで会ったことのない情熱家。市がこういった人を採用することになったのはいい流れだと思います」

「今は、県外や海外の人の“声”が必要」2024年北陸新幹線開業にあたって期待すること

石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

‐北陸新幹線の小松駅開業は2024年春と目前に迫ってきました。開業にあたって期待していることはありますか?

小林さん「“外から見た”小松への意見がグッと増えること、注目されることに期待しています。また、富山~石川~福井と遂に北陸3県がつながるので、日本全体の中で北陸が元気になったらうれしいですね。日本海側は、日本の文化が沢山残っている地域なので」

荒谷さん「個人的な面からいえば、滝ケ原石を見に来てくれる人が増えるだろうから嬉しいです。もっと広い範囲でいえば、色んな人の小松への意見が聞けることに期待。はじめて来た人に『こまつ、どうでした?』って聞きたい。何が面白いと思ったか、足りないと思ったか、その意見って代えがたい貴重なものだと思うから。

その声を聞いて、小松の外から来る人の、移住や観光をもっと受け入れられる町づくりができればと思っています。その中で、石切り職人としてできることをぜひ協力したい」

石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

荒谷さん「あと、この滝ケ原町にはここ数年地域からの若い移住者が増えていて、どんどん盛り上がっています(「TAKIGAHARA FARM」プロジェクトなど)。その中で、九谷焼の楽園にしようというプロジェクトが動いている。アクセスが良くなれば、職人たちの横のつながりがもっと増えると思うので、そこにも期待かな」

石材荒谷商店 5代目当主 荒谷雄巳さん

‐もしも今後「Komatsu九」で、お二人でコラボするならどんなことをしますか?

小林さん「イベントスペースがあるので、市が主催する『石の文化を学ぶ石切りワークショップ』とかやりたいですね。石のオブジェを九の中と駅構内に置いて『ストーンフェスティバル』もいいなあ」

荒谷さん「『フェスティバル』って言いたいだけじゃない?(笑)自分をはじめ、地場産業組は、小松を一緒に盛り上げたいと思っているから。何でも協力できることがあったら言ってほしいね」

小松市 観光交流課 担当課長 小林太一さん

‐最後に、これから小松市を訪れる方に向けて、小松で1番のお気に入りスポットを教えてください。地元民だからこそ知っている、ぜひニッチな場所をお願いします!

荒谷さん:「『小料理 げん』(土居原町)ですね。地元食材を使った和食居酒屋なんですけど、雲丹を海苔で巻いた料理が美味しくて…あぁ、食べたい。この前、太一(小林さん)とも行ったね。」

小林さん:「それも近所の『すみげん』(三日市町)っていう乾物屋の海苔を使っているんですよね。荒谷さん、感動して『すみげん』まで海苔を買いに行ってましたもん」

‐美味しかった居酒屋メニューの食材を買いに行けるという、この距離感こそが小松市ならではの暮らしなんですね。本日はありがとうございました。

<about>
石材 荒谷商店
住所:石川県小松市滝ヶ原町2‐143
TEL:090-9762-8324
HP:https://arayasyouten.jimdofree.com/

PAGE TOP